イスラーム世界論講座

イスラーム世界論講座

イスラーム世界論講座は、大きく分けて4つの分野の研究と教育をします。

第一は、イスラーム世界に固有の通時的・共時的現象を、時に地域間比較を交えながら研究します。たとえば、汎イスラーム主義や、イスラーム連帯、イスラーム諸国の交流、イスラーム諸国会議機構の史的展開と現代の活動というような主題について、広域的に研究します。また、湾岸地域と東南アジアで盛んになっているイスラーム経済の理論的・実証的研究というようなものも含まれます。さらに、広域的に展開しているタリーカ(スーフィー教団)の研究も行います。

第二は、思想・文化としてのイスラームを、特定の地域や個別の思想領域に着目しながら分析し研究します。具体的には、マシュリク(東方アラブ地域)における神秘主義思想や、イランにおけるイスラーム国家論のような主題について理解を深めます。

第三は、現代の中東・北アフリカについて、政治・経済・社会・文化などの諸側面について研究を行います。たとえば、エジプトにおける農業発展と工業化、シリアにおけるイスラーム復興と政治の動態、ヨルダンの民主化と議会政治、パレスチナ問題と中東和平プロセス、アラブ諸国間の労働力移動などの個別テーマを追究します。

さらに、中央アジアや東南アジアのイスラーム関連の主題についても研究を行います。

第四は、以上のようなテーマについて、歴史的・思想史的研究と現代研究を総合するような研究を行います。具体的には、イスラーム政治思想史を踏まえながら、現代のイスラーム国家論を検討したり、歴史的な「ズフド(禁欲)」思想の系譜の中から現代のイスラーム宗教思想を考察したりする研究です。

これらの研究は、研究科附属のイスラーム地域研究センターの活動とも密接に連携しています。

本講座では、地域研究の一環として研究を行いますので、理論的考察、原典読解、臨地研究の三本柱を総合して、調査と考察を行います。原典については、イスラーム世界の普遍語としてのアラビア語と、各地域における個別言語(民族語としてのアラビア語や、トルコ語、ペルシャ語など)を活用します。なお、京都大学には日本で最大のアラビア語コレクションが蔵書されております。

pagetop