推奨テーマ2025
平和共生・生存基盤論講座
中溝 和弥 教授(南アジア・インド洋世界論講座兼担)
- 暴力の連鎖をいかに断ち切るか
2001年に始まった「テロとの戦い」は、イスラーム国の出現に顕著に見られるように、終わりなき暴力の連鎖を生み出している。いかにしてこの悪循環を食い止めるか。人類が未だ解決し得ないこの問題は、容易に答えが見つからない故に、生涯をかけて研究する価値がある。南アジアを起源とする非暴力主義の思想と運動はひとつの手がかりとなるだろう。
- 新しい排外主義
欧米において移民排斥の動きが新たな高揚を迎えているが、自らの社会にとって「異質」と見なす人々を排斥する動きは、世界各地で起こっている。ヒト・モノ・カネ・情報の加速的な移動を可能にしたグローバル化の進展と密接に結びついていると考えられるが、なぜこのような現象が起こるのか。この理由を解明し、平和的に共生する途を探る研究が、今求められている。
- 貧困と格差
21世紀を迎えて、結局人類は豊かになったのだろうか。グローバル化の進展は、BRICsに代表される新たな新興国を生み出した。しかし、その一方で格差の拡大が指摘されている。例えばインドはグローバル化の「勝ち組」と目される国であるが、膨大な貧困層を依然として抱え、格差の拡大も問題となっている。いかにして貧困と格差を解消していくか。現代世界の喫緊の課題と言えよう。
長岡 慎介 教授(イスラーム世界論講座兼担)
- イスラーム経済のグローバル・ネットワーク
現代イスラーム経済の実践は、イスラーム法学(学者、学派)、イスラーム経済学(大学、研究所)、実務(企業グループ)、政策(国際組織)などの多様なネットワークによって支えられています。イスラーム世界の内外に張り巡らされたそれらのネットワークの実態と独自性を、地域をまたいだフィールドワークによって解明します。
- アジアおよびイスラーム世界の新興経済発展諸国における独自の発展径路
めざましい経済発展を続けるアジアおよびイスラーム世界の各国は、これまでの近代資本主義型経済とは異なる発展径路を模索しています。特に近年成長著しいトルコ、インドネシア、中東産油国における独自の経済発展の実態と地域的特徴を解明します。
- アジアから考える成長と平等のバランスの取れた次世代経済システム
経済格差や貧困、環境問題など資本主義の弊害がいたるところで見られる今、アジアで育まれてきたローカルな経済知のグローバルな可能性に注目が集まっています。よりよ い次世代の地球社会を構想するために、こうした経済知をどのように私たちの社会に活用・応用できるかを解明します。
イスラーム世界論講座
東長 靖 教授
- 神秘主義比較研究
スーフィズムはイスラーム神秘主義と訳されています。他方、世界のさまざまな文明にも神秘主義が存在しています。日本でいえば、密教や禅などがよく神秘主義の代表格として語られますし、キリスト教やユダヤ教、ヒンドゥー教などにもそれぞれ神秘主義が存在します。それらはどういう共通点とどういう相違点をもつのでしょうか。そのことを、スーフィズムを軸としながら考えます。
- ズフド(禁欲主義)研究
スーフィズムの前段階として語られるものにズフドがあります。しかし禁欲主義は、スーフィズムの前段階であるだけでなく、スーフィズムの倫理的側面の論理的支柱ともなっています。世界でもまだあまりなされていない、困難だけれど挑みがいのあるテーマです。
- タリーカ分析概念構築研究
タリーカは、スーフィー教団・イスラーム神秘主義教団とよく訳されていますが、これが十全にタリーカの実態を表しているのかについては、すでにさまざまな疑義が呈されています。あくまで個別タリーカの実証的研究に基づきながら、そもそもタリーカとは何という分析概念を問う意欲的な研究分野です。
帯谷 知可 准教授
- ソ連解体後の中央アジアまたはコーカサスの社会変容
1991年のソ連解体と中央アジア、コーカサス諸国の独立以降、政治的には民主化、経済的には市場経済への移行という大変革を経験し、一方でグローバリゼーションの波にさらされる中、いかなる社会変容が生じているか。
- 中央アジアまたはコーカサスの現代政治
社会主義体制崩壊後、中央アジアとコーカサスでは概して権威主義体制が強化される傾向にあるが、その要因と特徴は何か。民主化や市民社会の形成・成熟はどの程度実現されているか。
- 中央アジアまたはコーカサスのイスラームとジェンダー
社会主義的近代化の過程で公には「悪しきもの」として退けられてきたイスラーム的伝統や家父長制的ジェンダー・家族規範は、決して根絶されたわけではなかった。それらを他者のものとして排除することなく、現代の文脈に位置づけ直すにはどうしたらよいか。
南アジア・インド洋世界論講座
藤倉 達郎 教授
おすすめは、学生さん自身がいちばん深く関心を持っているテーマを探求することです。
その探求をできる限りサポートするのが指導教員の役割だと考えています。
これまで関わってきた博士学位研究のリストはこちら https://kdb.iimc.kyoto-u.ac.jp/profile/ja.9b290ca8650f04e7.html#display-items_education
私が行ってきた研究はこちらです https://kdb.iimc.kyoto-u.ac.jp/profile/ja.9b290ca8650f04e7.html#display-items_research