川口 千尋

川口 千尋 

研究テーマ

  1. ネパールにおけるジェンダーとシティズンシップ:シングルマザーの政治・社会的排除に着目して

研究内容

私はネパールのシングルマザーについてジェンダーと文化人類学の観点から研究しています。ネパールでは婚前/婚外交渉により妊娠した女性や離婚した女性が、家族の名誉(ijjat)を傷付ける存在であると捉えられることも少なくありません。さらに、シングルマザーの子は父親を特定できない場合、パスポートの発行や銀行口座の開設、選挙権の行使、大学入学、就職などのために必要な市民権証を取得できない状況が続いています。新憲法の制定や市民権にかんする法律の改正を経て、母親の名前に基づいて市民権証を取得できるということが定められました。しかし、ローカルな市民権発行の現場では、そうした法律に基づいた行政手続きが行われているとは言えません。そこで本研究では、彼女たちの出身村の人々や市民権証の発行を担う役人に対するインタビューを実施し、シングルマザーが生活していくうえでの障壁の数々を明らかにするとともに、彼女たちや支援者による生存戦略や社会運動についても調査し、現状の可変性に光を当てていきます。

写真①:新憲法制定時に行われた社会運動(調査対象者の許可を得て転載)

写真②:友人のシングルマザーの子たちの幸せを祈り、ティハールの儀式を行う調査者

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