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三層的分析枠組 これは、二元論的なイスラーム社会の単純化を乗り越えようとする方法の一つです。 どのような二元論でしょうか。たとえば、「理念」と「現実」という二元論。あるいは、イスラーム世界は「統一性と多様性」といいますが、そのとき「統一性」と「多様性」を対置させるような二元論。 「理念」と「現実」(あるいは「実態」)というとき、イスラームが理念で、ムスリム社会の実態が現実であるかのように言われます。この二元論は、二つの点で問題を含んでいます。 第一に、イスラームを理念として語るとき、「公式イスラーム」などといって、ウラマー的で「教科書」的なイスラーム、一枚岩的なイスラームのイメージが語られますが、実際には、理念としてのイスラームも極めて多様です。そうでなければ、これほどたくさんのイスラーム思想研究がある必要はありません。現実だけが多様なわけではありません。 第二に、実際の社会の中では、理念と現実を分離して抽出することはできません。理念は教科書の中にだけあるのではなく、生きている人間の生活の中に実在しているのですから、「現実の中の理念」を把握しなければいけませんし、人間が思考する動物である以上、生活の物質的な側面だけを現実として取り出すことも困難です。 そこで、「理念」「社会動態」と、その間において実際に生じる社会という、三層のものとして、モデル化します。
理念は、それ自体のレベルでは多様性を包含していますが、それぞれの理念は、社会動態に対する「規制力」および「対応力」を持っています。 社会動態とここで言っているのは、環境や生業といった物質的側面、政治経済的な諸力、歴史が持つ規定力などの総体がもたらすものです。 その結果、次のような三層がイメージされます。 |